好きな花はコスモス

五ヶ月に渡りエイターへ贈られた(と、思っている)日経エンタテインメント連載「魂の歌」を読み終えた。

 

次号、全員揃ってのインタビューを読んでから感想を書こうかなと考えていたが、その前にひとつ思ったことをつらつら記す。

非常に自分勝手な、妄想に近い感想。

 

 

「なぜ彼らは関ジャニ∞を続けようと思ったのか」

これは二人が辞めたあと、ずっと頭の片隅にあった疑問だ。

その答えは「ぼち夜」で大倉君が発した「5人をあきらめていない」に集約され、それが全てでもあったと思う。

また、折に触れ各自が様々な場所で語った「ジャニーさんへの恩返し」であり「(関ジャニ∞は大きくなりすぎて)もう自分達だけのものではない」も大きな理由であったのだろう。

 

けれど、どこかで

「アイドルでいることが枷になっているのではないか」

「全員ソロで充分やっていけるのではないか」

もっと言えばすばる君や亮ちゃんのように、自分に決定権がより多くある道を選んだ方が幸福度や満足度が高いのではないか。

との思いが拭いきれなかったのだ。

 

その傲慢で身勝手ではあるが、ちくちくと胸に刺さっていた疑問をこのインタビューは一つ一つほぐしていってくれた。

 

まず驚いたのがヨコヒナの考えが真逆であった点だ。

 

すばる君の脱退が決まった時、

ヨコさんが「解散は全然考えていなかった」であったのに対し

村上君は「すばるが抜ける、イコール、閉じなきゃいけないんだ」と考えていた。

 

この文を読んだ時、自分が全くの思い違いをしていたことに気がついた。

会見やその後雑誌等で語られた言葉から、ヨコさんの方がグループ存続を困難であると捉え、村上君の方が継続に迷い無しであるのだろうと思っていたからだ。

それはヨコさんが解散したがっていたというのではない。

リーダーという名称ではないが、グループを引っ張り愛し育て、守ってきた最年長の彼がすばる君というかけがえのない仲間を失った後、そのまま続ける事をよしとしないのではなかろうかと感じたのだ。

そしてそんなヨコさんに村上君が「そんなん言わんと続けようや!」と励ましていたのではないかと・・・

 

しかしそうではなかった。

  

そう、それにパブリックイメージとは異なり、村上君は「支える人」であり「引く人」でもあったのだ。

一見、前へ、前への印象があるがインタビュー内にあるように「他者を盛り上げ、引き立てる才能のある人」なのだ。

その彼が大きな柱であるすばる君と「袂を分かつ」ことになった時に、閉じなければならないと考えたのは必然だったのかもしれない。

 

対して、年下組はどうだったのだろう。

 

ヤス君は5人の中でも、割合早い段階で二人の事を受け止めていたように思う。

彼の代名詞とも言える「優しさ」や「穏やかさ」とは別の冷静さでもって。

繰り返すが、あくまでもこれは彼らが表に出してくれた媒体から私が感じた超主観的なものに過ぎず、こうしてぐだぐだ書いていても本当の事には永遠にたどり着けないと自覚している。

 

その上で思う。

 

「諦念」ともまた違う、かと言って「赦し」でもない。

 

いっそ「祝福」さえも感じさせる、ヤス君が発する去りゆく二人への言葉に漂うもの。

 

このまま7人で、新体制になってからは6人で頑張って頂きを目指そうとする姿勢は皆と同じだったのだと思う。

けれどいち早く

「彼を止めることはできない」

「一度決めたことを曲げない人だから」

をすばる君に(多分亮ちゃんにも)対し思っていたのであろうヤス君は、道の違えをのみ込み次の航路へと舵を切ったのだ。

そうして二人を見送り、出港したのだと思う。5人が乗る船で。

 

 

さあ、大倉君だ。

誌面で堂々と「グループ至上主義」と述べ「グループがなくなったらこの仕事を続ける気はない」と断言した彼は、見聞きし得る限り最も感情の揺れをこちら側に見せてくれた人。

 

顕著なのはすばる君の会見でのあの見事な仏頂面だ。

納得も同意もしていない様子は言葉の端々にも見受けられたが、何と言っても渾身のふてくされ感と心ない質問に対する容赦無い視線が彼の気持ちの全てを物語っていたと思う。

 

後日、「大倉くんと高橋くん」で「子供だった」自分の態度を反省していたが、主にラジ(しかも生放送)を通して素の気持ちをファンに伝えてくれた彼の一言一句に何度も救われた事を、今も鮮明に思い出す。

 

その揺れを経て、「関ジャニ∞」を改めて続ける気持ちを強くした彼が、丸ちゃんの言うように「今、ブレーンとして活躍してくれているのは完全に大倉ですね」なのは至極当然の事なのだと頷く。

 

 

丸ちゃんのインタビューだけ少し趣きが違ったように思う。

はぐらかしている訳でも言いよどんでいる訳でもなくあたたかい語り口で真摯に答えているのに、どこかふわっとしている。

すばる君の事も、4人が余り語らなかった亮ちゃんの事も情感を持って語ってくれていて、一番今までの事を詳細にリアルに話してくれているのにも関わらず、最後までその空気は変わらなかった。

 

それは丸ちゃんが、ファンそれぞれの中にある「私が知っている関ジャニ∞はこう」という想いを「汚したくない」と思ってくれているからなのかもしれない。

 

自分はこういう風に思ってやってきたけれど、そう受け取らない人もいるよね、が見え隠れしている。

 

グループを続けた事についても、核心には触れていないように感じた。

 

けれど、そこが丸ちゃんの魅力の一つなのだとも思う。

 

 

それにしても実に濃くて読み応えのある連載だった。

来月の最終回が、待ち遠しくもあり終わってしまうのが寂しくもある。

5人揃ってのインタビューでは何が語られるのだろうか。

 

 

先日手にしたパンフレットにあぁ、と思う言葉が載っていた。

 

 

「花はひとつだけで綺麗っていうより、いっぱいで連なってて綺麗っていうほうが好きなんですよ。(中略)細い茎にいっぱい花がついて、花畑とかにぶわーっといっぱい咲いてて綺麗な。」

 

若き日の大倉君のこの言葉が、関ジャニ∞というグループなんだと。