どちらも大事

「大相撲とジャニーズは似ている」

15年余大相撲を愛してやまない長女の持論である。

と言っても、相撲はともかく彼女のジャニーズ事務所についての知識は幼児が波打ち際で遊べるくらいに浅い。

そして母である私自身も関ジャニ∞のファンだが他グループについてはほぼ知識がなく、エイトさんの事ですら古くから見守ってきた方々からすると赤子のようなものだ。

 

そんな親子のぬるーい感想?印象?戯言?と思ってほしいと早速逃げ道を用意しながらつらつら書いていく。

 

長女が最も似ているという点はその育成にある。

今、ジャニーズ事務所に合宿所は無いが(無いですよね?)エイトさん達がジュニア時代にはバリバリの共同生活だったと彼らの古典落語を紐解くとよくその頃の逸話が出てくる。

つい先だって、いやもう一年前か…のテレビ番組「あいつ今何してる?」でも当時の寮母さんが出演され伝説のフレンチトースト事件やジャニーさんと彼らのほのぼのエピソードなどをお話ししていた。

 

相撲部屋もそうだ。

入門した弟子は親方とおかみさんの元で一緒に暮らし稽古に励む。

十両以下は大部屋だが十両以上(関取)になると1人部屋に移れる。個室が足りず師匠の許可が出れば1人暮らしもできるそうだが基本は結婚を機に部屋を出て別に暮らすというのが流れとの事。

 

同じ年頃の少年、青年達が同じ釜の飯を食い切磋琢磨する。

そしてここが肝心だと思うのだがいわゆる月謝というものがない。(無いですよね?)

ジュニアも十両以下の力士もまだプロではない。と、看做されている。

例外もあるが収入もほぼない。

そんなこれからどうなるか全くわからない原石真っ只中の彼らからレッスン料や稽古代は取らない。

さらにジャニーズは選考もふわっとしていて合格したのかしないのかも明確に知らされない為、丸ちゃんは自分が合格していないと思って二度受けている。この話大好き。

 

この点に関して大相撲は義務教育を終了している事、所定の身長や体重の基準を満たしている事等、カッチリ新弟子検査なるものがある為ジャニーズとは異なる。

 

次に似ていると思われるところは長女曰く、その独特な世界だという。

 

大相撲は「国技」である。

「スポーツ」ではない。しかし「興行」の側面も持っている。

ここがややこしいし悩みどころでもあるのだがそこが相撲の魅力でもあるのだと長女は力説する。

 

横綱に求められるのは強さだけではない。強さと同時に品格も求められる。土俵での態度は勿論普段の振る舞いにもそれをかなり強く要求される。

強いだけでは駄目なのだ。

そして横綱に降格は無く、力がなくなったと自らが判断したその時に現役引退、すなわち横綱でいられる強さがなくなれば土俵を去るしかないのだ。

 

「強さ」と「品格」この二つを同じバランスで両立するのは非常に難しいと思う。

格闘技の最高峰とも言える(便宜上こう言うが)競技で闘争心を剥き出しにせず戦うのは困難なのではと感じる。

しかし横綱が闘争心を全面に出したガッツポーズや張り手、かち上げをすると非難される。なぜならその行為は「品格」に抵触するから。

文字通り体一つで相手とぶつかり合う時に「強さ」と「品格」を同時に成し遂げるのは至難の技。

更に「興行」である以上観客も楽しませなければならない。

 

ジャニーズ、というか関ジャニ∞のライブもそうだなと今回のツアーを観て感じた。

彼らには沢山の武器がある。

歌、ダンス、コント、MC、そしてバンド。

近年はバンドに重きがおかれそれが「関ジャニ∞」のスタイルとなっていた。

それが関ジャニ∞の強みでもあるのだと思っていた。

しかし、その「バンドスタイル」を先導していたすばる君と亮ちゃんが去った後、彼らのライブ構成はどうなるのだろう。

一番の強み(であると私が感じていた)バンドを全面に押し出す事は難しくなった。

そうである以上、「アイドル」である部分と「ミュージシャン」である部分をどう両立させ組み立てていくのか。

 

その答えが8BEATツアーで示された。

 

彼らは「アイドル」と「ミュージシャン」を見事に両立させていた。

両立、というか配分が均等であり絶妙だった。

歌もダンスも演奏もどれかに比重が傾く事無くそのどれもが「関ジャニ∞」としてのパフォーマンスとして成立していた。

以前の方が良かったとか悪かったとかそういう事ではなく、内包することが難しい二つの事柄を鮮やかにやってのけた彼らの力量を改めて思い知らされたのだ。

 

人によってはこのバランスの良さを物足りなく感じたかもしれないし、それが五人になってから時折目にする「丸くなった」「優しくなった」「尖ってない」に繋がるのかもしれない。

確かに雰囲気は柔らかくなったがなんというか彼らは「重く」なった。

重心がぐっと下がりちょっとやそっとでは倒れない重さを感じるようになった。

すばる君と亮ちゃんがいた時の危うさや激しさや脆さとは違う別のものを5人はこの2年で掴んだのだろうなと。

 

 

時に閉鎖的と言われる事のある大相撲とジャニーズだが、それは裏を返すと大倉君が話していた「一緒に、未熟な子たちを支えて、育って、巣立っていくところを、感動も含め共有する」に繋がるのではないかと思う。

 

 

まだ長女の中では共通点があるとの事だがそれは彼女の入試が終わったらまたゆっくり聞くことにしよう。