今現在思うこと

以前、大相撲とジャニーズは似ているというブログを書いた。

その時は「育成方法に共通部分が多いのでは」という大相撲ファンである長女との他愛もない会話がきっかけだった。

そして駄文の末尾に「他にもあると思うのでまた書いてみたい」と記していた。

 

あれから二年近くが経った。

共通する素晴らしいところや称賛するところも沢山あるのだけれど、今回書くところは苦く辛い部分だ。

 

ジャニー喜多川氏による性加害問題について7日に記者会見があり、昨日補償及び再発防止策についての文書が発表された。

内容への感想や意見はそれぞれの思い入れ、距離感で異なるのは当然であろうし是であっても否であってもどちらかが100%正しいとは言いきれないと思う。

 

私自身は事務所が故人の性加害を認めた事、それをふまえて被害者への補償の詳細を公表した事を在野のいちファンに過ぎないが彼らを応援するものとして咀嚼し、この件について事務所が被害者の方へ専門家の力を借り無秩序にではなく真摯に対応してくれるようにと願っている。

 

 

この一連の流れを見聞きしてきて感じたのが冒頭で述べた大相撲との共通点だった。

 

ファンの方には蒸し返すようで大変申し訳ないが大相撲も土台を揺るがすような事件が次々と起きた。

その度に苛烈な報道がなされ、「大相撲の闇」「大相撲の危機」等の見出しが紙面や画面に連日並び、テレビ番組でも厳しい言葉があちこちから飛んだ。

ジャニーズも大相撲もそれだけの事を起こしたのだからと言われると俯くしかないのだが、今、ジャニーズに対する物事を見て思い出すのが、当時幼かった長女が「こんなにお相撲は嫌われていたの?」という言葉だ。

 

国技ではあるが、私が子供の頃と比べあくまでも自分の周辺の事ではあるが、大相撲の人気や認知度は低くなっていると思う。他のプロスポーツよりも特に子供の関心はあまり無く相撲を習う子はおろかテレビ中継を見ている子も知る限りではいなかった。

 

そういった状況に慣れていた長女は急な変化に驚き悲しんだのだと思う。

昨日まで相撲の話しなどしたことのなかった級友達の口から聞く大好きな力士への耳をふさぎたくなるような言葉、場所中楽しみにしていたスポーツ新聞に載っている協会への容赦無い批判、そして何よりぎりぎりの所で土俵にあがり続ける力士の心情。

 

少なくとも自分の周囲ではあまり関心をもたれていなかったお相撲が急に話題になったと思ったら、あちこちで噂されている。

悪い事をした人がいたのはわかるがしていない人も悪く言われている。

どんなに頑張っていても「お相撲さん」というだけで。

 

全く同じとは言えないかもしれないが、今ジャニーズに所属しているタレントの置かれている状況に似ていたと思う。

 

その組織に属している以上ある程度のペナルティは当たり前だという意見も多く目にした。

今回起きている多くの契約解除、取引停止もその一部であり企業側からするとそう決断せざるを得ない事も理解できる。

 

しかしその事と在籍するタレント及び事務所社員の方々が今、必要なケアを受け、誹謗中傷にさらされずに活動、仕事ができるようになる事とはまた別の話しであると考えている。

 

このことと被害者への誠実な対応は矛盾するものではなく、むしろ今後同じような被害を出さない為への道筋であるのだと思う。

 

 

稀代の大横綱白鵬が著書にて「いい相撲を見せれば、ファンはそれをわかっていて、熱い声援で力をつけてくれたし、的確に評価もしてくれた。だから力士として軸足は、あくまでも稽古を積んで、これぞ大相撲といういい相撲を取ることに置くべきである」(「相撲よ!」白鵬翔著より引用)と語っている。

 

この言葉を借りるならば、タレントの軸足は様々な媒体を通して「表現する」事に置いた方が良いのではないかと思う。

(キャスターやMCは伝える事が主で表現とは異なるかもしれないが、それでも過剰に他者から自分の内面を追及されるのは本筋ではないと思う)

 

最後になるがもうひとつ共通のところがある。

歴代数名外部の方もいたが基本的に大相撲協会のトップである理事長は元力士である親方が理事選を経て就任する。

今回ジュリー氏の後任として東山さんが現役を退き社長になると知った時、何とも言えぬ感情になった。

善し悪しや是か否でもない「そうか...」という気持ち。

イノッチとお二人共、どうかお体に気をつけて舵を取ってください、と祈るばかりである。